ヤマハピアノでは以前「X支柱(交差状X支柱)」を採用し、上級に位置づけられたモデルがありました。現在はコストの問題でしょうか、X支柱のモデルはなくなっています。
【20トンの張力に耐える】
ピアノの内部には鋼鉄製の弦(一部はさらに銅線を巻き付けた巻き線)が約220~230本張られています。1本あたりの張力は80㎏~90kgです。ですから合計すると約20,000kg、つまり約20トンの張力がピアノには四六時中かかっています。
【弦は斜めに張られている】
ピアノの弦は中音部から低音部にかけては斜めに張られています。限られたピアノの大きさに対して、できるだけ長く弦を張ろうとすると当然斜めになっていきます。特に低音部は弦が長い方が深い、たっぷりした音が出ますからね。
【交差状X支柱】

X支柱の例(UX1の背面)

X支柱の例(UX1の背面)

UX30AのX支柱

縦にも一本加わったUX30AのX支柱














そこで、ピアノの中で斜めにかかっている張力に対して、同様に斜めに支柱を配して対抗しよう、というのがX支柱の設計上の狙いです。張力にゆとりをもって対抗することによって、いつまでも艶のある良い音を出そうというのが設計の狙いですね。
弦の張力に対抗するのは「支柱」だけではありません。「フレーム」と呼ばれ、ピアノの内部で金粉で塗装されている「鋳物でできた鉄骨」も支柱との連携して弦の張力を受け止めています。ですから、X支柱ではない縦支柱のモデルだからといって弦の張力への対抗力が著しく劣るかというと決してそのようなことはありません。必要充分の強度は確保されています。

【音の良さを支える特長はX支柱だけではない】
X支柱モデルは上級品番として位置づけられていましたので、X支柱以外にも特長をもっていました。ピアノ本来の音が耳元に届く「トーンエスケープ」機構や、音色を豊かにする「アリコート方式弦設計」などもそうですが、ハンマーの材料である羊毛のグレードや、響板に使っている木材の年輪のきめ細かさなど、カタログに載らないところでも上級の材料を使っていました。
x支柱の音の良さは、X支柱だけで実現している訳ではないようですね。