ピアノ選びのポイント
Q.身近な人に聞くとヤマハピアノを持っている人が多いのですが、ヤマハピアノはどんなところが良いのでしょうか。
三木楽器では長年ヤマハピアノを取り扱ってきました。その上で申し上げますとヤマハピアノの一番の良い点、特長は、何といっても工業製品として極めて安定した品質を持っている事です。将来部品の交換が必要になった場合でも同じ部品を持ってくるとピタッと嵌ります。もう一つの特長は、表現力の幅が広い事でしょう。普通に弾くとニュートラルな音色、激しく弾くと激しい音色、やさしく弾くとやさしい音色がします。近年芸術的な表現力に更に磨きがかかってきたとの評価もあります。
【ヤマハの音を聴く】
Q.ヤマハピアノに欠点、悪い点はないのでしょうか?
ヤマハピアノについてよく言われるのは「音がキンキンする」などという評価です。特によく弾かれたピアノの場合はハンマーの先端に弦の跡が長く深く付いていたりしますと音色がやや金属的になる場合があります。そのような場合は調律師に依頼して「整調」「整音」を入念に行ってください。それにより、ハンマーに弾力性がよみがえり、ヤマハピアノの表現の幅が回復してきます。
Q.カワイピアノはどうでしょうか?
カワイピアノはヤマハと並んで世界的にも評価の高いピアノです。音色はどちらかというと行儀が良く、丸い音という事でヤマハやスタインウェイと対をなしています。しかし近年のカワイの音色は少しずつ輝かしさも備えてきているとの評価が高まっています。
【カワイの音を聴く】
Q.カワイピアノに弱点はありませんか?
特にありませんが、演奏者の気持ちに反応する時の表現の幅がもう少し欲しいという方もおられます。音色の行儀のよさがやや暗めという印象を与えているという見方もあります。
Q.ベーゼンドルファーの特長はどういうところでしょう?
ベーゼンドルファーはご存知のように音楽の都ウィーンで育った楽器です。特長を一言でいうと「木の音がする」でしょうか。側板や大屋根など木部のボディーも鳴らすようにしており、鋳鉄フレームを鳴らすスタインウェイやヤマハと比べるととても暖かい音色を持っており、声楽や他楽器とのアンサンブルに溶け合う、という評価がもっぱらです。是非一度ご試弾にお越しください。
【ベーゼンドルファーを聴く】
Q.ベーゼンドルファーの弱点はないのでしょうか?
以前は大ホールの演奏には音量が不足という評価がありましたが、近年のモデルはかならずしもそうではありません。しかし、音量で圧倒するという方向は目指していません。国際ピアノコンクールに参加しないのも目指す方向の違いでしょうか。
Q.スタインウェイピアノの特長は?
スタインウェイピアノが世界的に最高の評価を得て今日まで来たことを否定する方は数少ないでしょう。19世紀末から今日にいたるまで多くのコンサートを彩り、数限りない音楽シーンを演じてきました。フォルテでの輝かしくそれでいて端正さを失わない音色と、オーケストラとの共演でも埋没しない音量は見事というしかないでしょう。
Q.スタインウェイピアノの弱点は?
ありません。強いて言えば近年のピアノの品質について往年に比べやや落ちているのでは、という一部の評価がある事でしょうか。確かに木材等材料面でなかなか往年の品質のものが入手しにくいのは事実です。しかしこれはスタインウェイだけに限った事ではありません。
Q.ベヒシュタインの特長は?
ベヒシュタインピアノは戦前は世界一のピアノとして栄華を極めましたが第2次大戦により工場焼失やドイツの東西分割により勢いを失いました。
しかし東西ドイツ統一を機に「ベヒシュタインこそドイツの魂」としていま往年の名声を取り戻すべく世界に誇れるピアノ作りに取り組んでいます。
ベヒシュタインの特長は高い弦圧、総アグラフ仕様等で醸し出される透明感の高い音色にあります。
【ベヒシュタインを聴く(スタインウェイとの比較あり)】
Q.ベヒシュタインに欠点はありますか?
限度を超えた強打の時にピアノが悲鳴を上げる等の指摘が一部にあります。
しかしコントロールされた打鍵で歌われるメロディ域の美しさには定評があります。
Q.ファツィオリとはどういうピアノですか?
1981年創業のイタリアのピアノメーカー。現社長は家具制作者かつ、ピアノと作曲を本格的に学んだ音楽家としてピアノ作りの情熱覚めず。細部の造りは高級家具のように丁寧にキレイに作られています。スタインウェイ社の技術者を招聘し国際ピアノコンクールの公式ピアノに認定されるなど活発に活動しています。操業40数年でここまでピアノを完成させたファツィオリの意気はすごいと言えます。
【ファツィオリを聴く】
Q.ファツィオリに弱点はありますか?
楽壇への登場から間がなく、評価が定まったとは言えないのが現状です。しかし短期間の中でかなりの支持者を増やしたのは創業者のピアノ造りへの情熱のなせる業ではないでしょうか。
Q.ピアノか電子ピアノで迷っています。5歳の女児です。
本物のピアノは弦の振動が響板全体を震わせて音を作ります。またペダルを踏んだ時は弾いている音だけでなく88個ある鍵盤の音全てが共鳴しており、それがピアノの奥深い音色になって私達の耳に届きます。脳細胞がすごい勢いで発達している幼児期には出来るだけ本物の音を味あわせていただきたい、というのが私達の願いです。
Q.マンションの規定で生のピアノは置けないのです。
どうしても置けない場合はやむをえません。クラビノーバなど通常の電子ピアノ以外に、ハイブリッドピアノと呼ばれていますが、本物のピアノと同じ鍵盤やアクション(機構)を備えたNU1などもご検討ください。タッチ感(弾き心地)はほぼ本物のピアノです。音もかなり近いです。
Q.マンション住まいなので防音が気になります。
確かに防音の問題がありますね。音には「空気を伝わる音」と「固体を伝わる音」があります。まず、ピアノを弾く時には必ず窓を閉めて弾きましょう。ゴム製のインシュレータなどを敷いて床の振動を防ぐ事も必要です。また、ピアノの設置場所ですが、マンションや戸建の外壁から離れた、中心部に近い場所を選ばれるのも一つの方法です。それになんと言っても夜や早朝は音が良く聞こえますので遠慮しましょう。
Q.こどもが高学年になってくると夜に練習する事もあるのではないかと。
その際はピアノに消音ユニットを後付けして夜は消音モードで練習しましょう。あらかじめ消音ユニット付きのモデルを選ぶ事もできますし、予算的に厳しければ消音ユニット付きの中古ピアノを選ぶのも一つの方法ですね。
Q.小5の娘がピアノコンクールに出るくらいに好きになって夜も弾くし、もっと練習したいというのです。
そこまでピアノが好きになられたのは大変結構ですね。お嬢様にとって大きな財産です。海外赴任のご家庭の奥様がピアノがお得意で、赴任先でピアノを披露していっぺんに人気者になりみなと親しくなった、というお話も聞いています。ここまで来ればユニット型防音室を検討されるのも一つの方法です。ヤマハのアビテックスは引越先にも持って行けますし、中古市場も発達していますので万一の場合処分もしやすくお薦めです。
Q.同じヤマハのアップライトピアノでも40万円台から200万円を超すものまであって、どれを選べばよいのか分からなくなってしまいます。
国産でヤマハやカワイなど名の通ったブランドをお選びになるのでしたら一般家庭用のピアノとしてはどれをお選びになっても品質が不足するとか役に立たないという事はありません。確かに高額なモデルは設計にもこだわりまた部品も選んで造られており、少しでも良い音をと追求されていますが、ご家庭に入れてから調律師の調整によって置かれた環境や使われ方に見合った形のピアノづくりを行っていけば、どのモデルでもきっとご満足いただけると思います。
Q.ヤマハやカワイなどでアジアの工場で造っているピアノってどうなんでしょうか?
ピアノは手作りの要素が多い為、日本の工場で造るとコストは高くつきます。ヤマハや河合のインドネシアなどアジア工場製ですが、設計は日本でデザインされていますし、部品や製造も日本の基準で造られておりますから何の遜色もありません。ご家庭に入れてからの調律師の調整を含むピアノの育て方の方がむしろ影響はあるかも知れません。
Q.ピアノは色々あって迷ってしまいます。何を基準に選べば良いでしょう?
1.ブランドで選ぶ
そうですね。迷ってしまった時はブランドで選ぶのも一つの方法です。ブランドというのは長年多くの方に使われてきて、その期待に応えてきたから今日まで生き残っているのです。その意味でブランドで選べばそれほど大きな間違いはないでしょう。ブランド品はリセールバリューも高い事は皆さんご存知の通りです。なお、気を付けて頂きたいのは、部品の一部にドイツ製を使っていることを誇張してあたかもドイツ製ピアノのように言って売り込む場合もあるようですので惑わされないようにしてください。また、最近は新興国の資本が欧州のかつてのブランドを買収して自国で生産するなどのケースもありよく吟味されることをお勧めします。
2.価格で選ぶ
しっかりしたブランドを選ばれたうえで、ご予算などと照らし合わせて価格で選ぶのはこれも一つの方法です。しかし、ブランドを選ぶ前に価格だけで選んでしまうと失敗するかもしれませんので気を付けましょう。このブランドのあのモデルが欲しいけど予算が、、、となったときはそのブランドの中古がないか尋ねたり検討してみましょう。
3.音で選ぶ
でも音やタッチ(弾き心地)が気に入ったらそのピアノを選ばれるのも一つの選択ですね。ピアノはなんといっても楽器ですから、弾いて楽しく快く感じることが一番です。弊社では展示品全てをご試弾いただけますし、ご指示いただければ係員が短いパッセージを演奏して聴き比べて頂けます。ただ、気を付けて頂きたいのは、最近はめったにないとは思いますが、自社が売りたいピアノを最高に調整し、売りたくないブランドの音を濁らせたりして比較し、自社の売りたいものを勧めるような店舗もあるかも知れませんので念頭に置いて下されば幸いです。
Q.ピアノはリビングか子供部屋かどこに置こうか考えています。
1.ピアノにとって良い場所
人間に快適な環境がピアノにとっても快適です。目安としては温度は15℃~25℃、湿度は冬で35%~65%、夏で40%~70%が適当と言えます。日本の気候は湿度が高く、その為ヤマハなど日本のメーカーは湿度にもある程度耐えられるように作られてはいますが、それでも日本でのピアノの大敵は湿度(湿気)です。三木楽器ではご不用になったピアノの買い取りを行っておりますが、湿度の高い場所に置かれていたピアノは調律のピンやピアノ線(弦)が真っ茶に錆びているのを見ます。こうなると修理に多大なコストが掛かるだけでなく場合により修復不能になってしまいます。湿度の高いお部屋に置かざるを得ない場合は除湿器の使用をお考えください。石油ストーブやガスストーブは水蒸気を発生させますから避けてください。また暖房の熱を直接ピアノに当てるのも避けましょう。
2.直射日光も大敵!
日当たりの良いお部屋は冬場などは心地よく過ごせるのですが、ピアノに直射日光が毎日当たるような環境の場合、ピアノの外装に反りや歪みが生じたり塗装面の劣化が進行したりします。また昼間は高温、夜間はかなり温度が下がる事によって、弦や響板、鉄骨フレームなどに疲労が出て悪影響が出ることがあります。厚手のカーテンなどで当たらないように保護しましょう。
3.防音面ではお部屋の中心部に近い方が
マンションや戸建てでも、防音の点から考えると家の外壁に近いところよりも中心部に近い場所の方が周囲には聞こえにくい場所となります。
4.床の強度の面は?
ピアノはアップライトで200~250kg、グランドピアノの家庭サイズでは300~350kgです。大人4人~6人分の重量と言えるでしょう。近年に建てられたものですと十分耐えられるものと思われますが、ご心配の場合は建築会社等にお問い合わせください。
Q.地震等を考えた場合の置き場所は?
地震を考えた場合の置き場所としてできれば避けたいのが戸建ての2階等への設置です。お部屋の中でピアノが上下左右に大きく動いた場合は多大な損傷が起きる可能性があります。また、ピアノの近くで就寝するなども避けてください。ピアノと地震、その対策についてはこちら⇒ページ作成
Q.ピアノの外装や鍵盤、真鍮のお手入れ
塗装面についたほこりはけばたきなどで軽く払いのけてください。鏡面艶出し塗装のピアノには「ユニコン」をお薦めしています。半艶仕上げ塗装のピアノには半艶用ワックスをご使用ください。鍵盤にはキークリーナーをお使いください。ペダルやYAMAHAのマークなどの真鍮については、それに向いたコンパウンドがありますが、他の面を痛める可能性もありますので調律師等にご相談ください。
Q.ピアノのトップカバーやオールカバー等について
ピアノのキズを防いだり日光を避けるにはオールカバーなどがありますが、湿気の多い場所ですと逆に湿気を吸い、ピアノに良くない場合もあります。また、木目を生かした外装のピアノの場合、カバーが掛かっていない部位が日焼けで色が薄れたりして、掛かっていた部位との色調の差が出ることがありますので注意してください。
Q.湿気対策について
湿気対策として乾燥剤をピアノの内部に入れておくこともあります。しかしピアノは密閉されていないため効果は一時的とお考えください。ピアノの中に温和な発熱体を入れておく装置もあります。これは電気代はかかりますが(1ヶ月200-300円)効果はあります。⇒ダンプチェイサーの解説
ヤマハピアノ(新品)販売について
Q.ヤマハピアノを卸売価格で買えると言っているのですが三木楽器はいかがですか?
現在ヤマハピアノの卸売りを主たる事業としているのはヤマハ株式会社及びその100%子会社だけだと認識しています。
その卸売り先はヤマハピアノ正規特約店※だけです。ヤマハピアノ正規特約店でないところが卸売価格で消費者に販売するという事があり得るのか不思議に思っています。
三木楽器は戦前からヤマハピアノ正規特約店としてヤマハピアノを数え切れないほど数多くお客様にお納めして参りました。
ヤマハピアノはどうぞご安心して三木楽器よりお求めください。

※ヤマハ株式会社と特約店は商品カテゴリーごとの取引契約となっています。管楽器や電子楽器の契約があってもピアノの契約はない場合があります。
Q.ヤマハピアノの格安、激安をうたう広告を時々見かけます、三木楽器はどうですか?
ヤマハピアノを安い価格で広告し、来場されたお客様には別のピアノを「ドイツ製」であるかの如く説明し日本以外のアジアメーカー製のピアノを販売している例をいくつか見て参りました。
中にはヤマハピアノの調律をわざと狂わせて自分の売りたいピアノを良い音と見せかけるような極めて悪質な販売方法も過去にありましたので十分お気をつけください。
三木楽器はヤマハ創業の頃ヤマハピアノの西日本総代理店を勤めて以来、100年以上にわたりヤマハピアノを数多くお納めして参りました。ヤマハピアノは是非関西は大阪の三木楽器でお求めください。
勿論、三木楽器としてもお客様にできるだけご負担を少なくすべく価格面でも最大限の努力をしております。
是非お気軽にヤマハピアノ(新品)の見積り依頼・問い合わせを下さるようお願いいたします。
Q.本物のピアノ(生ピアノ、アコースティックピアノ)はどこが良いのでしょうか?電子ピアノも考えていますが。
電子ピアノは確かに魅力的です。軽くコンパクトでヘッドホンが使えるし、何よりお値段が安いですね。
でもやはり本物の持つ「豊かな響き」にはかないません。特に耳(聴覚)が発達する幼児~児童期に本物のピアノを間近に聞くのとそうでないのとでは随分違いがあると思います。素材の良さを生かした手料理を子どもの頃から食べた方の味覚が大いに発達するのと同じですね。もし事情が許すならば子どもの頃は生のピアノに触れて欲しい、というのが私達の願いです。
「ピアノの本」(2009年November)掲載、ピアニスト三浦友理枝さんインタビューより
「やはり木がカーンと鳴る自然な響き、豊かな倍音の広がりはアコースティック楽器独特のもの。子どものときからそうした”生”の音をより多く聴き、”生”ピアノで練習することが、豊かな音の表情づくりは絶対に必要だと思います」