ピアノにとって致命的な欠陥とは何か、それは響板とフレーム(金属プレート)に起こります。響板の欠陥は主に(1)ひび割れと(2)駒の沈下です。
フレームの欠陥は折れ・ひび割れです。響板の欠陥は雑音(ノイズ)や不鳴りを引き起こします。フレームに欠陥があると調律が出来なくなります。
しかしこれらの欠陥はピアノを見て発見できるものではありません。これらの致命的な欠陥は「ピアノを弾いてみる事」で発見できます。ピアノを弾いてみて、特定の鍵盤で「雑音(ノイズ)が出る」とか、「鳴りや響きが良くない」と感じたら原因がなんであれ避けた方が良いですね。また弾いたピアノが極端に調律が狂っているキーや部分がある場合はフレーム折れや「ピンルーズ」の可能性があり、これも避けた方が良いでしょう。
ピアノは楽器ですから、好きな音色のピアノを選びましょう。そのためには、店舗で試弾してみるのが一番です。
三木楽器 開成館ではすべてのピアノをご試弾いただけますし、必要に応じて店舗担当者が弾いてさしあげられます。是非一度本町開成館にお越しいただき、弾き比べをしてください。
日本ではヤマハとカワイでシェア85%を占めていましたので私たちが目にするピアノのほとんどはこのどちらかです。どちらも世界的に定評のあるメーカーです。どちらを選んでも失敗ということはないでしょう。
全般的にいえば、ヤマハは明るく輝きのある音色、カワイは落ち着いたまろやかな音色を持っていますが、個々のピアノによって少しずつ違いがあります。店頭でご自身で確かめ、お好みの音を選んでください。店頭スタッフに弾いてもらっても良いですね。
「ヤマハはキンキンする」という声や「カワイの音色は暗い」などの評価もありますが、ピアノの整備(整調・整音・調律)を行った上での評価ではない事もありますのでご留意ください。
欧米のメーカーでは一部に日本の気候(多湿)に合わず、メインテナンスに神経を使う必要があるものもあります。
なお、欧米風の名前でアジア産のピアノも新品と同様ですがありますので、気になる場合は「原産国はどこですか?」とお尋ねになってください。
まず「ピアノの寿命」ですが、良い環境に置かれメインテナンスを受けていれば寿命はまず100年以上あると見て良いでしょう。
人によっては「半永久的」とも言います。ただし、ハンマーや弦などは消耗部品ですから耐用限度が来たら交換する必要があります。問題はハンマーや弦など重要部品の交換がかなりの費用(数十万円)になる事です。その意味で次のようにまとめられます。
まず問題ありません。重要部品の交換が必要なほど酷使されたアップライトピアノは稀にしかありません。中古市場に出てくるピアノは(悪質業者でない限り)今後数十年は使えるものばかりです。
グランドピアノの場合、ピアノの専門家が使ったケースが多く、弦やハンマーなどがどの程度消耗している可能性があります。外観がきれいで、弾いて良い音がしたとしても、今後長く使えるかどうか確認する必要があります。ピアノの先生やピアニストでもその判断は難しく、調律師であれば判断できます。調律師が「アクション」を内部から出して観察すれば分かります。その意味でピアノ選びに知り合いの調律師に同行してもらうのは良い方法です。
価格帯が重なっていますのでよく比較されます。私たちからすると音の深さ、自然な響き等で断然中古でも生ピアノをおすすめしたいのですが、一方電子ピアノの良さも捨てがたいものです。
電子ピアノは「持ち運びが簡単」「ヘッドホンが使える」「色々の音が出る」などのメリットがある一方で、「音は本物ではない」「生産終了後メーカーが電子部品を供給しなくなったら修理できない」「少し古くなると買い取りしてもらえない」などのデメリットもあります。
本来ピアノレッスンは生ピアノを基本になされます。特に幼児期のお子様は聴覚をはじめとする五感を猛烈な勢いで発達させておられるので本来は生のピアノでのレッスンが望ましいのは申すまでもありません。そのことを基本に以下の意見を述べさせていただきます。
ピアノ消音装置は1993年にヤマハが発売、以後急速に普及しました。基本原理はこうです。
いわば、ピアノの中に電子ピアノを内臓したようなものです。
使い方は、昼間や夕方などは通常のピアノとして使い、夜間など周りが静かになる時は消音状態にしてヘッドホンで音を聴くという方が多いです。
消音装置はこのように、ピアノに触れる時間帯を広げることができたので防音に悩んでいた愛好家には救いとなりました。
しかし、多少のデメリットがない訳ではありません。ハンマーの動きを弦に触れる直前にストップするために、ピアノの調整を少し変化させる必要があります。そのため、鍵盤のコントロール性がやや低下しますので、微妙な表現が難しくなります。
従って、ピアノを弾く方が幼少で、防音を気にする必要が少ないなどの場合は消音装置なしでお使いになり、高学年になって必要になった時に消音装置を後付けする、というのも一つの選択肢です。