中古ピアノ選びのポイント

1.致命的な欠陥を避ける

ピアノにとって致命的な欠陥とは何か、それは響板とフレーム(金属プレート)に起こります。響板の欠陥は主に(1)ひび割れ(2)駒の沈下です。 フレームの欠陥は折れ・ひび割れです。響板の欠陥は雑音(ノイズ)や不鳴りを引き起こします。フレームに欠陥があると調律が出来なくなります。
しかしこれらの欠陥はピアノを見て発見できるものではありません。これらの致命的な欠陥は「ピアノを弾いてみる事」で発見できます。ピアノを弾いてみて、特定の鍵盤で「雑音(ノイズ)が出る」とか、「鳴りや響きが良くない」と感じたら原因がなんであれ避けた方が良いですね。
また弾いたピアノが極端に調律が狂っているキーや部分がある場合はフレーム折れや「ピンルーズ」の可能性があり、これも避けた方が良いでしょう。

2.音色やタッチ感が気に入ったピアノを選ぶ

ピアノは楽器ですから、好きな音色のピアノを選びましょう。そのためには、店舗で試弾してみるのが一番です。三木楽器ではすべてのピアノをご試弾いただけますし、必要に応じて店舗担当者が弾いてさしあげられます。是非一度本町開成館にお越しいただき、弾き比べをしてください。

3.アップライトピアノが良いかグランドピアノが良いか

ピアノ本来の姿かたちはピアノの前身チェンバロと同じように平型ーつまりグランドピアノから始まっています(1700年代初頭)。アップライトピアノは1800年にアメリカ人ホーキンスが発明しそのコンパクトさで瞬く間に全世界に広まりました。
グランドピアノは打鍵のコントロールし易さ、音の拡がり、音色の多彩さでアップライトを凌駕しており、ピアノとの生活もより楽しめるでしょう。もしグランドピアノを設置できる空間をお持ちなら是非、検討してみてください。

4.背丈の高いアップライトが良いか、低めコンパクトなアップライトが良いか

背丈の高いアップライトには長い弦が張ってあり、低音は豊かに響きます。豊かな低音を求める方は131cm前後のピアノをお求めになると良いと思います。このクラスのピアノは性格的にゆったりおっとりしています。
次に、121cm前後の背丈のピアノも低音はかなり豊かです。このクラスのピアノは活発、快活な性格を持っています。しかし、131cm,121cmいずれも音質的にはグランドピアノに出来るだけ近づけようと考えて作られています。
一方110cm前後の背丈のピアノは欧米でよく普及したモデルです。家具調のデザインを持ったものも多いですね。このクラスのモデルは音質的にはあくまで家庭用と割り切って設計されています。確かに比較すれば低音の響きに物足りなさを感じるかも知れませんが、全体としてバランスが取れていれば普段お使いになるのに不足を感じることはないでしょう。

5.メーカーはどこが良い?

日本ではヤマハとカワイでシェア85%を占めていましたので私たちが目にするピアノのほとんどはこのどちらかです。どちらも世界的に定評のあるメーカーです。どちらを選んでも失敗ということはないでしょう。全般的にいえば、ヤマハは明るく輝きのある音色、カワイは落ち着いたまろやかな音色を持っていますが、個々のピアノによって少しずつ違いがあります。店頭でご自身で確かめ、お好みの音を選んでください。店頭スタッフに弾いてもらっても良いですね。
「ヤマハはキンキンする」という声や「カワイの音色は暗い」などの評価もありますが、ピアノの整備(整調・整音・調律)を行った上での評価ではない事もありますのでご留意ください。
欧米のメーカーでは一部に日本の気候(多湿)に合わず、メインテナンスに神経を使う必要があるものもあります。
なお、欧米風の名前でアジア産のピアノも新品と同様ですがありますので、気になる場合は「原産国はどこですか?」とお尋ねになってください。

6.消音装置の必要性、メリットとデメリットは?

ピアノ消音装置は1993年にヤマハが発売、以後急速に普及しました。基本原理はこうです。

  1. ハンマーが弦に当たる直前でハンマーの動きをストップして音をださないようにし、
  2. 鍵盤の動きの速さをセンサーで検知して音の強弱や音質に変換して電子音源から発音し、ヘッドホン等で聴く。

いわば、ピアノの中に電子ピアノを内臓したようなものです。
使い方は、1.昼間や夕方などは通常のピアノとして使い、2.夜間など周りが静かになる時は消音状態にしてヘッドホンで音を聴く
という方が多いです。
消音装置はこのように、ピアノに触れる時間帯を広げることができたので防音に悩んでいた愛好家には救いとなりました。しかし、多少のデメリットがない訳ではありません。
 ハンマーの動きを弦に触れる直前にストップするために、ピアノの調整を少し変化させる必要があります。そのため、鍵盤のコントロール性がやや低下しますので、微妙な表現が難しくなります。
 従って、ピアノを弾く方が幼少で、防音を気にする必要が少ないなどの場合は消音装置なしでお使いになり、高学年になって必要になった時に消音装置を後付けする、というのも一つの選択肢です。

7.中古ピアノの寿命は?

まず「ピアノの寿命」ですが、良い環境に置かれメインテナンスを受けていれば寿命はまず100年以上あると見て良いでしょう。人によっては「半永久的」とも言います。ただし、ハンマーや弦などは消耗部品ですから耐用限度が来たら交換する必要があります。問題はハンマーや弦など重要部品の交換がかなりの費用(数十万円)になる事です。その意味で次のようにまとめられます。

1.アップライトの中古

まず問題ありません。重要部品の交換が必要なほど酷使されたアップライトピアノは稀にしかありません。中古市場に出てくるピアノは(悪質業者でない限り)今後数十年は使えるものばかりです。

2.グランドピアノの中古

グランドピアノの場合、ピアノの専門家が使ったケースが多く、弦やハンマーなどがどの程度消耗している可能性があります。外観がきれいで、弾いて良い音がしたとしても、今後長く使えるかどうか確認する必要があります。ピアノの先生やピアニストでもその判断は難しく、調律師であれば判断できます。調律師が「アクション」を内部から出して観察すれば分かります。その意味でピアノ選びに知り合いの調律師に同行してもらうのは良い方法です。

8.中古ピアノか電子ピアノか迷ってしまう

価格帯が重なっていますのでよく比較されます。私たちからすると音の深さ、自然な響き等で断然中古でも生ピアノをお薦めしたいのですが、一方電子ピアノの良さも捨てがたいものです。
 電子ピアノは「持ち運びが簡単」「ヘッドホンが使える」「色々の音が出る」などのメリットがある一方で、「音は本物ではない」「生産終了後メーカーが電子部品を供給しなくなったら修理できない」「少し古くなると買い取りしてもらえない」などのデメリットもあります。
 本来ピアノレッスンは生ピアノを基本になされます。特に幼児期のお子様は聴覚をはじめとする五感を猛烈な勢いで発達させておられるので本来は生のピアノでのレッスンが望ましいのは申すまでもありません。それを基本に以下当ページの意見を述べさせていただきます。

1.マンションなどでピアノの持ち込みが出来ない規則がある

このような条件が絶対的な場合はやむを得ませんね。電子ピアノしか選べません。
「消音機能が付いているピアノで夜間はそれを使用すればOK」の場合もあります。消音装置付きの中古ピアノも豊富に出回っていますので、確認してください。

2.今はピアノが置けるけど将来転勤した場合、置けるかどうか分からない

幼児期にはできるだけ生の音に触れさせてあげて欲しいものです。
確かに転居は心配ですがピアノの場合、万一手放す場合でも価値がゼロになる事はありません。電子ピアノの場合、特に型番が新しいものに替わった時には処分価格が付かなくなる事も多いです。どちらかを選ぶ場合、それも留意点としてお決めください。

3.電子ピアノの方がいろんな音が出るので楽しめる

最近は多音色機能を備える消音ユニットを装備した中古ピアノもあります。店舗でたずねてみてください。

ピアノ選びのポイント (中古ピアノ編)

Q.ピアノか電子ピアノで迷っています。5歳の女児です。

本物のピアノは弦の振動が響板全体を震わせて音を作ります。またペダルを踏んだ時は弾いている音だけでなく88個ある鍵盤の音全てが共鳴しており、それがピアノの奥深い音色になって私達の耳に届きます。脳細胞がすごい勢いで発達している幼児期には出来るだけ本物の音を味あわせていただきたい、というのが私達の願いです。

Q.マンションの規定で生のピアノは置けないのです。

どうしても置けない場合はやむをえません。クラビノーバなど通常の電子ピアノ以外に、ハイブリッドピアノと呼ばれていますが、本物のピアノと同じ鍵盤やアクション(機構)を備えたNU1などもご検討ください。タッチ感(弾き心地)はほぼ本物のピアノです。音もかなり近いです。

Q.マンション住まいなので防音が気になります。

確かに防音の問題がありますね。音には「空気を伝わる音」と「固体を伝わる音」があります。まず、ピアノを弾く時には必ず窓を閉めて弾きましょう。ゴム製のインシュレータなどを敷いて床の振動を防ぐ事も必要です。また、ピアノの設置場所ですが、マンションや戸建の外壁から離れた、中心部に近い場所を選ばれるのも一つの方法です。それになんと言っても夜や早朝は音が良く聞こえますので遠慮しましょう。

Q.こどもが高学年になってくると夜に練習する事もあるのではないかと。

その際はピアノに消音ユニットを後付けして夜は消音モードで練習しましょう。あらかじめ消音ユニット付きのモデルを選ぶ事もできますし、予算的に厳しければ消音ユニット付きの中古ピアノを選ぶのも一つの方法ですね。

Q.小5の娘がピアノコンクールに出るくらいに好きになって夜も弾くし、もっと練習したいというのです。

そこまでピアノが好きになられたのは大変結構ですね。お嬢様にとって大きな財産です。海外赴任のご家庭の奥様がピアノがお得意で、赴任先でピアノを披露していっぺんに人気者になりみなと親しくなった、というお話も聞いています。ここまで来ればユニット型防音室を検討されるのも一つの方法です。ヤマハのアビテックスは引越先にも持って行けますし、中古市場も発達していますので万一の場合処分もしやすくお薦めです。

Q.同じヤマハのアップライトピアノでも40万円台から200万円を超すものまであって、どれを選べばよいのか分からなくなってしまいます。

国産でヤマハやカワイなど名の通ったブランドをお選びになるのでしたら一般家庭用のピアノとしてはどれをお選びになっても品質が不足するとか役に立たないという事はありません。確かに高額なモデルは設計にもこだわりまた部品も選んで造られており、少しでも良い音をと追求されていますが、ご家庭に入れてから調律師の調整によって置かれた環境や使われ方に見合った形のピアノづくりを行っていけば、どのモデルでもきっとご満足いただけると思います。

Q.ヤマハやカワイなどでアジアの工場で造っているピアノってどうなんでしょうか?

ピアノは手作りの要素が多い為、日本の工場で造るとコストは高くつきます。ヤマハや河合のインドネシアなどアジア工場製ですが、設計は日本でデザインされていますし、部品や製造も日本の基準で造られておりますから何の遜色もありません。ご家庭に入れてからの調律師の調整を含むピアノの育て方の方がむしろ影響はあるかも知れません。

Q.ピアノは色々あって迷ってしまいます。何を基準に選べば良いでしょう?

1.「ブランドで選ぶ」
そうですね。迷ってしまった時はブランドで選ぶのも一つの方法です。
ブランドというのは長年多くの方に使われてきて、その期待に応えてきたから今日まで生き残っているのです。その意味でブランドで選べばそれほど大きな間違いはないでしょう。ブランド品はリセールバリューも高い事は皆さんご存知の通りです。なお、気を付けて頂きたいのは、部品の一部にドイツ製を使っていることを誇張してあたかもドイツ製ピアノのように言って売り込む場合もあるようですので惑わされないようにしてください。また、最近は新興国の資本が欧州のかつてのブランドを買収して自国で生産するなどのケースもありよく吟味されることをお勧めします。

2.「価格で選ぶ」
しっかりしたブランドを選ばれたうえで、ご予算などと照らし合わせて価格で選ぶのはこれも一つの方法です。しかし、ブランドを選ぶ前に価格だけで選んでしまうと失敗するかもしれませんので気を付けましょう。このブランドのあのモデルが欲しいけど予算が、、、となったときはそのブランドの中古がないか尋ねたり検討してみましょう。”

3.「音で選ぶ」
でも音やタッチ(弾き心地)が気に入ったらそのピアノを選ばれるのも一つの選択ですね。ピアノはなんといっても楽器ですから、弾いて楽しく快く感じることが一番です。弊社では展示品全てをご試弾いただけますし、ご指示いただければ係員が短いパッセージを演奏して聴き比べて頂けます。ただ、気を付けて頂きたいのは、最近はめったにないとは思いますが、自社が売りたいピアノを最高に調整し、売りたくないブランドの音を濁らせたりして比較し、自社の売りたいものを勧めるような店舗もあるかも知れませんので念頭に置いて下されば幸いです。