三木楽器本店ビルは、戦火を免れ生き残った大正時代の近代建築です。
三木楽器は江戸時代の文政8年(1825年)に「三木書店」として創業しました。明治21年にオルガンなどの楽器の販売を始め、書店としても楽譜や音楽教科書を扱いました。大正13年、創業100年を記念して本社社屋を新築したのが三木楽器本店ビルです。
容姿については、ヨーロッパ建築を真似ているようにも見えますが、これはその当時の総入ピアノメーカーのーつ、ドイツ・スタインウェイ社本社社屋を参考にしたものと言われています。建築当時はわざわざドイツから取り寄せたレンガを使用していました。外壁は、雨水などによる劣化のため、平成元年に回収し、同色のレンガタイルを貼り、笠木屋根部は緑青吹き付け銅販を使用しています。
(竹中工務店)


北入口には今でも「書籍楽器/大阪開成館/三木佐助」の文字が刻まれており、「開成館」は書店であったころの屋号です。

店舗正面の2階から上の部分のレンガは当時のままです。壁面にあるテラコッタは、現在価値にすると1個百万円をくだらないと言われています。
1F 店舗
木内真太郎作のステンドグラス

①店舗の出入り口には、木内真太郎作のステンドグラスがあります。研究者によれば彼の素晴らしい作品は関西に数カ所しかなく、大変貴重な物だと言われています。このステンドグラスは、グラス片が10色、1020枚使用されています。
②明治大正に当館と交流のあった音楽家をパネル展示しています。

④2階へ続く階段は大理石で作られており、当時の豪華さを物語っています。大理石等は当時のままですが、鋳物の手摺りは入れ替わっており、当時は鉄製であったため、軍から撤収されたと伝えられています。

⑤店舗の書棚は、戦後改造されましたが、上部の一曲ごとの楽譜専用(ピース)棚は当時のままです。

⑥中央階段
地下から4階まで伸びている中央の階段は、洗い出し工法で非常に丈夫なコンクリートで出来ています。手摺りの高さは現代人にしてみれば少し不安を感じる程の高さとなっています。
B1F 商品倉庫・歴史保存室
地下は当時より商品の保管に利用されていました。大阪は地下水が浅く、当時の技術では深く出来なかったため、天井が低くなっています。基礎部分になる3尺角(約90cm)の太い柱で強化しています。

⑦当時のエレベータは人を乗せるものでした。この階だけ当時の階数表示盤が残っています。

⑧めずらしい六角型のタイルを床に敷いています。
⑨衝立や書類箪笥など戦前の調度品が保存されています。
2F 現・小ホール
当時はピアノ売り場であり、スタインウェイなど高価なものが並んでいました。現在は音楽講座等の催しを開いています。
3F 現・業務フロア
戦前は、150余名を収容できるホールになっており、山田耕筰や著名人達がコンサートなどに利用していたと、当時のホール日誌に記されています。
FLOOR MAP
※この建物は営業中です。業務に差し支える場合は、見学をお断りする場合もございますので、あらかじめご了承願います。尚、特に3F部分は事前にご照会ください。
FLOOR MAPグレー色の部分は入室できません。ご了承ください。